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エアコンのカビ対策。内部クリーンは予防であって、生えたカビは取れない

予防は自分で(内部を乾かす)、除去は業者に(分解洗浄)。市販スプレーはメーカーが停止 やることは2つに分かれる ◎ 増やさない(予防) 冷房のあとに内部を乾かす 自分でできる・今日から ◎ 生えたカビを取る(除去) 分解して洗う 業者に頼む △ 市販の洗浄スプレー メーカーが使用を止めている
予防と除去は別の作業です。混ぜると、予防の機能で取ろうとしたり、除去のつもりで事故を起こしたりします。

送風口をのぞいて、黒い点を見つけてしまいます。

買ってまだ数か月でも生えます。年数の問題ではないからです。

カビが育つのは、冷房で濡れた内部が、濡れたまま止まるからです。三菱電機は、冷房や除湿では室内機の内部で結露が起きるため湿気がこもりやすいと説明しています。

つまり乾かせば防げます。ただし、すでに生えたカビは運転では取れません。

この記事では、メーカー3社と製品評価技術基盤機構(NITE)の公表資料をもとに、予防としてできること、やってはいけないこと、業者に頼む判断を整理します。

結論から言うと、カビは乾かして防ぎます。生えたカビは市販のスプレーではなく、業者に頼みます。

結論:予防と除去は別の作業

やることは2つに分かれます。これから増やさない(予防)と、いま生えているものを取る(除去)です。

予防は今日からできます。冷房のあとに内部を乾かすだけです。

除去には分解が要ります。送風口から見えるファンの奥まで、運転では届きません。

この2つを混ぜると失敗します。予防の機能で取ろうとして効かないか、除去のつもりで市販のスプレーを使って事故につながるかです。

なぜ生えるのか。冷房で内部が結露するから

カビが生える流れ:冷房で結露→濡れたまま停止→汚れが栄養→カビが育つ 冷房・除湿で内部が結露する 濡れたまま運転を止める 細かい汚れが栄養になる △ カビが育つ
年数ではなく、濡れたまま止めているかどうかで決まります。買ったばかりでも生えます。

三菱電機は「冷房運転や除湿運転では、室内機内部で空気が冷やされ結露するため、湿気がこもりやすく、カビが発生しやすい状態になっています」と説明しています。

冷房は空気を冷やして水分を取る運転です。取れた水は内部に付きます。そこで止めると、濡れたまま放置されます。

もう一つ必要なのが栄養です。パナソニックは、フィルターで取り切れなかった細かい汚れが室内機の内部に届き、カビの原因になるとしています。

つまり「買ったばかりだから大丈夫」は成り立ちません。 決めるのは年数ではなく、濡れたまま止めているかどうかです。

内部クリーンは予防であって、除去ではない

ここが最大の分かれ目です。

三菱電機は内部クリーンを「エアコン内部を乾かし、カビの発生を抑制して清潔に保つためのもの」と説明しています。

そのうえで、「すでに発生しているカビを取り除くことはできません」と明記しています。

「内部クリーンを回しているのにカビが生えた」は、機能が壊れているのではありません。そもそも取る機能ではないからです。

生えてしまったものは、乾かしても消えません。予防に使う機能だと理解して使います。

購入時は設定されていない機種がある

内部クリーンは、設定して初めて動きます。

三菱電機は、一度設定すると解除するまで運転停止時に毎回自動で行うとしています。裏を返せば、設定していない機種では働きません。

パナソニックは、冷房や除湿を30分以上運転して停止したときに内部クリーンが働くとしています。短時間の運転では動かないことになります。

カビが気になるなら、まずリモコンで設定を確認します。 予防はここから始まります。

つけっぱなしだと内部クリーンは動かない

設定していても動かないことがあります。24時間つけっぱなしの運転です。

内部クリーンは、運転を停止したときに働く機能です。止めなければ、一度も動きません。

パナソニックは、自動設定にしていても「長時間連続で運転しているとき」は内部クリーン運転を行わないと明記しています。

冷房を回し続けている間、内部は濡れたままです。乾く時間がありません。

対処は、1日に1回だけ冷房を止めて、送風に切り替えることです。 1〜2時間ほど回せば内部が乾きます。

つけっぱなしをやめる必要はありません。乾かす時間を1日1回だけ作れば足ります。

内部クリーンの短所。室温が約2〜3℃上がる

内部クリーンには短所もあります。正直に書きます。

三菱電機によると、内部クリーンは最大10分間の弱い暖房運転を行い、その間「お部屋の温度が約2〜3℃上昇したり、お部屋の湿度があがることもあります」。

パナソニックも、内部クリーンは「送風→暖房→送風」の順に運転し、室温が上がることがあると案内しています。室温が低く湿度が高いときは、壁や窓に結露が発生する場合もあります。

「エアコンを消したら蒸してきた」の正体はこれです。→ エアコンの除湿と冷房どっち?

回避の方法は、切ることではありません。パナソニックは、人がいない時間帯に運転するよう設定を変えられるとしています。時間をずらせば、乾燥はそのまま続けられます。

乾かし方はメーカーで違う。暖房で10分か、送風で2時間か

同じ「内部を乾かす」でも、やり方は2通りに分かれます。

短時間の暖房か、長時間の送風か。部屋が暑くなるのを避けたいなら、送風で時間をかける方式のほうが向きます。

内部クリーンが付いていない機種でも、やることは同じです。冷房を止めたあと、送風に切り替えて運転します。

日立の約2時間が、乾かすのに必要な時間の目安になります。手動でやる内部クリーンだと考えれば分かりやすくなります。

フィルター掃除の頻度はメーカーで違う

もう一つの予防がフィルター掃除です。ここで注意したいのが、推奨頻度がメーカーで違うことです。

どちらが正しいという話ではありません。機種と使い方で変わるので、手元の取扱説明書の数字に合わせます。

効果は電気代にも出ます。パナソニックは、2週間に1回掃除した場合とまったくしなかった場合で、1年間の電気代に約1万円以上の差が出たとしています。

カビ対策としても効きます。フィルターを抜けた汚れが内部に届く前に止められるからです。

自動お掃除機能が付いている機種は、おそうじランプが点灯したときに確認します。

市販の洗浄スプレーはメーカーが止めている

自分でやっていいのはフィルターと外から見える部分まで。内部への薬剤は止められている ◎ 自分でやっていい フィルター類の掃除 外から見える部分の拭き掃除 △ 内部にかけない 市販の洗浄スプレー 消毒用アルコール 次亜塩素酸ナトリウム 火災・故障につながる
境目は「フィルターと外から見える部分まで」。その奥に薬剤をかける作業は業者の領域です。

ファンのカビを見つけると、洗浄スプレーを買ってきたくなります。ここは止めてください。

ダイキンは、自分でできるお手入れをフィルター類と外から見える部分が中心だとしたうえで、「洗浄スプレーやリンス剤の使用はお控えください」と案内しています。

理由として挙げられているのは次の5つです。

1つ目に注目してください。カビを取るつもりの作業が、カビの原因になります。 流しきれなかった洗剤が内部に残るためです。

そして送風口から見えるファンは、スプレーの届く場所ではありません。届かないまま洗剤だけが残ります。

公的機関の公表では5年で20件の事故

危険は理屈の話ではありません。実際に事故が起きています。

製品評価技術基盤機構(NITE)は2020年、エアコンの内部洗浄による事故が2019年度までの5年間で20件発生したと公表しました。

事故の例として挙げられているのは次のような内容です。

エアコンを洗浄した際、エアコンの内部配線端子部分に洗浄液が付着したため、端子部でトラッキング現象が発生し、異常発熱が生じて出火する事故が発生した。

NITEの呼びかけは3つです。

「アルコールなら安全そう」も名指しで止められています。 家にある消毒用アルコールは可燃性で、内部の掃除には向きません。

生えたカビは業者に頼む。料金の目安

分解して洗える業者に頼みます。料金の目安は次のとおりです。

(くらしのマーケットの料金相場より。地域と業者で幅があります)

お掃除機能付きが高いのは、フィルター清掃のユニットを外さないと熱交換器まで届かないためです。分解の手間がそのまま料金に乗ります。

くらしのマーケット公式はこちら

お掃除機能付きは「カビ対策」ではない

ここは誤解が多いところです。お掃除機能が掃除するのはフィルターで、内部のカビは対象外です。

カビが育つのは熱交換器と送風ファンで、どちらもお掃除機能の守備範囲の外にあります。

しかも業者に頼むときの料金は上がります。前の節のとおり、通常タイプより1万円ほど高くなります。

フィルター掃除の手間が減るのは確かです。 そこは長所として数えて構いません。ただしカビ対策として期待すると、ずれます。

グレードで何が変わるかはエアコンのグレードの違いにまとめています。

カビを理由に買い替える前に

「もう買い替えたほうが早いのでは」と考える前に、金額を並べます。

業者のクリーニングは8,000〜15,000円。買い替えは本体価格と工事費の合計です。掃除で済むなら、掃除のほうが安く付きます。

ただし年数が進んでいるなら話が変わります。補修部品があるのは発売からおよそ11年で、それを過ぎると故障しても直せません。

判断の基準はエアコンは修理と買い替えどっち?にまとめています。

洗っても風量が戻らない、ニオイが残るという場合は、業者に見てもらってから決めます。

結論:予防は自分で、除去は業者に

要点をまとめます。

予防は今日から始められて、費用もかかりません。冷房のあとに内部を乾かす。それだけで、来年ファンをのぞいたときの景色が変わります。

次に確かめるのは、リモコンの内部クリーンの設定です。

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